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ちょっと詳しいSequatorの使い方

星景写真において、動いていく星を点のまま捉えて表現しようとする際に
「短時間・高感度露出」と「高感度ノイズ」の二律背反をどのように解決するかは頭の痛い問題です。
これを解決する手法の一つに、星空の位置合わせをしつつ地上は止めたまま加算平均してくれるSequatorというソフトがあります。私もこのソフトにお世話になるようになって星景写真のクオリティがだいぶ上がったと感じているため、改めて私なりの使い方を解説してみようと思い立ちました。あ、ちなみにMacの方はStarry Landscape Stackerというソフトがほぼ同じ機能を備えているそうですよ。

今回の解説ではSequatorのほかにPhotoshopを使用しますが、
Photoshopをお持ちでない方もRAW画像にある程度の編集作業を施しつつTiffに一括変換することが可能な環境をお持ちであれば参考になるかもしれません。あくまで私なりの処理方法ですので、ほかにもきっといい方法があると思います。

本日のお題はこちら。
先日の遠征で撮影した車星景写真です。ピントは車に合わせているので、星の部分は若干ピンボケになっていますが、効果としてはわかりやすいと思います。
20190604_04_R.jpg

まずは撮影編として
1. カメラの設定をRAW+jpgにしておく
2. カメラを三脚に乗せてしっかり固定
3. リモートレリーズまたはそれに準ずる自動シャッター機能で(星空以外の)構図を完全に合わせて複数枚撮影
4. 無事に帰宅

ここまでは特に解説を加える必要はないと思いますが、カメラに触れずに複数回自動でシャッターを切る手段はぜひ確保しておきましょう。いくらそーっとシャッターを押しても、ピクセル単位のずれが生じてしまいます。
素直にリモートレリーズを導入することを強くおすすめします。

それではここから、Sequatorで処理した1枚のTiff画像を取得するまでを実際の画面とともにお話ししたいと思います。

メモリーカードからPCにデータを移します。その際、同じ構図で撮影したデータごとに一つのフォルダに入れて整理しておくとよいでしょう。Jpgデータはは撮影情報(絞り値・シャッタースピード・ISO感度)の確認のために必要になりますので、1枚は残しておいたほうがよいと思います。

Sequatorで処理を始める前に下処理を行います。
これをやっておくと仕上がりに結構な差が出ますので手間を惜しまずいきましょう。
 
20190610_01.jpg
1. Bridge CCから該当のフォルダを開き、「Camera RAW画像」にチェックを入れて、RAW画像のみを表示
2. 「Ctrl+A」などでRAW画像を全選択して右クリック→「Camera RAWで開く」を選択

20190610_02.jpg
3. Camera RAWが開くので、左ペインに表示されている画像を再度全選択して編集作業を進めます。

20190610_03.jpg
4. 必要に応じてレンズプロファイルを適用

20190610_04.jpg
5. 色温度と色カブリ補正スライダを使って、空の色がダークグレーになるように調整

1-3については通常の作業ですので詳細は割愛します。
4のレンズプロファイル適用は人によって判断が分かれるところかと思いますが、星の写真の場合は通常の写真よりもきつい強調処理をかけていくことが多いので、レンズプロファイルを当ててある程度周辺減光を修正しておかないと後の強調処理がやりづらくなると思いますのでプロファイルは当てておいたほうがいいと思います。もちろんあえて周辺減光を残して中心のモチーフを強調するという意図であればそのままでもよいかもしれません。

5のダークグレーについて
星空写真の背景色には人それぞれ好みがあります。
青くするのはあまり好きではありませんが、まぁそこは人それぞれなのでここでは深くは触れません。ただし、前段階としてはニュートラルグレーにしておくのがおすすめです。そうすることで仕上げの際の色転びを軽減させることができ、狙った色に仕上げるのが比較的容易になるからです。
星空を青くしたい人も、前提としてのニュートラルグレーは覚えておいて損はありませんよ。

とはいえ見た目で正確なニュートラルグレーを判断するのは難しいと思います。
ここはヒストグラムを見ましょう。

201906111_01.jpg
大きな山が2つ見えますが、右側が星空の部分、左側の山が地上部分です。星空の色を整えるのが目的ですので右側の山に注目します。色温度スライダを左右に振りながらRGBそれぞれの山がほぼ一致してグレーになるポイントを探っていきます。ただし色温度スライダだけだと完全には一致しないことも多いです。色温度スライダでRGBをある程度まで一致させたところで、色かぶり補正のスライダで調整するとうまくいくことが多いです。

20190610_10.jpg
以上のようにレンズプロファイルを適用してホワイトバランスを調整した画像がこちら。
撮って出し画像と比較するとだいぶ自然な色合いになりましたね。

ただし、光害の影響がきつい場所で撮影したデータではRGBが完全に一致することはありません。
ヒストグラムをじっくり見てみるとイエローの露出がちょっと右側にはみ出ているのがわかると思います。これは低空にかかった雲で明るくなっている箇所になるのだと思われますが、あまり厳密に考えなくてもここではOKとしましょう。
ある程度整えておくだけでもカメラ任せのホワイトバランスよりは断然マシになりますので。

レンズプロファイルとホワイトバランスの調整まで終わったら、すべての画像をTiffで保存します。
保存場所は同じフォルダでよいでしょう。拡張子でソートできますのでフォルダまで分ける必要はないかと思います。

20190610_05_20190610234621b1b.jpg
保存の際は16bitを指定するのをお忘れなく。



さて、ここからがSequatorの出番です。
起動して上から順番に見ていきます。

20190611_03.jpg

「Star Images」
ここをダブルクリックするとファイル選択画面が表示されますので、
先ほど一括保存したTiffファイルを全て選びます。

「Base Image」
Star Imagesで開いた一連の画像の中で、真ん中に位置する画像が自動で選ばれます。
自動で選ばれた画像のファイル名は括弧内に表示されます。
仕上がりもここで指定した星の位置がベースになりますので、星の配置の観点からどちらか端に寄せたいということであれば手動で設定するのもよいでしょう。ただし一番端の画像を指定すると星空と地上の分割線周辺に不自然なノイズが出ることが多いようなので、やはりBase Imageはソフトの通りにしておくのがよいのではないかと思っています。

「Noise Images」
いわゆる「ダーク減算」のために使用するダークフレームの設定です。ダーク減算については話し始めると長くなるのでここでは割愛します。適切なダークフレームが指定されているものとして処理を進めます。わからない人は指定せずに飛ばしてしまっても処理は進みます。

「Vignetting Images」
こちらは周辺減光を補正する画像ですが、Camera RAWで補正済みという前提ですのでここではスキップします。
 
「Output」
出来上がりファイルの保存場所とファイル名を指定します。ここまでがSequator上での準備になり、ここからマスク指定等細かい作業に入っていきます。

 20190610_07_20190611215542214.jpg
Composition設定をAlign Stars・Freeze Groundを選択、星空の部分にマスク指定します。

20190611_09.jpg
左クリック・ドラッグで星空部分を指定して白くしていきます。
20190611_11.jpg
地上部分を塗ってしまった場合は右クリック・ドラッグで復活させることができます。

20190611_10.jpg
マウスホイールを回すと円のサイズを調整することができますので、
細かいところはマウスホイールと左右クリックを使い分けながら星空部分を指定していきましょう。

これを繰り返して星空部分の指定が終わったら処理スタート。

ちなみにその他の細かい設定は基本的にOffでよいと思います。いくつかは試してみましたが、必要な処理はPhotoshopで行ったほうが処理の効果や結果もわかりやすく、自然な仕上がりになると感じています。

処理時間は1枚の写真の画素数やPCのスペックによりますので何とも言えませんが、私の場合は2400万画素、10枚程度の合成であれば1分もあれば終わります。地上も星も流れないTiff画像が出来上がれば成功です。
 
あとはこのTiff画像をPhotoshopで開いてあれこれ編集です。Tiff化の時にホワイトバランスをニュートラルグレーに調整してありますので、編集時の色調整が簡単になっているはずです。

あれこれを経て出来上がったのがこちら。
20190604_04_R.jpg

今回の例をSequatorを使って20枚加算平均したものと1枚画像を処理したもので比較してみましょう。
20190611_05_R_R.jpg
普通に合成すれば確実に星は流れて写ってしまいますが、
星空部分はぶれることなく位置合わせをしてくれた上でノイズが減っているのがわかります。


20190611_04_R_R.jpg
地上部分はよりわかりやすくノイズが減っていると思います。
車のように艶のある被写体だと効果もわかりやすいようです。

という感じで赤道儀を使って星を追尾せずとも、そこそこノイズの少ない星景写真を得ることができました。


こんな説明をしておきながらなんですが、こういう合成をしない1枚撮りの写真も私は好きです。
例えば雲が入っていたりする画像を合成するとのっぺりとなって表情が消えてしまいますが、
1枚撮りであればその時の雲の表情まで表現することができます。
風が吹いて地上がぶれればそれはその瞬間の景色ですが、それを合成してしまうとただの汚い写真です。こういう手法はあくまで表現の手段の一つという程度に留めておくとよいなー思います。

2021年1月

Sequatorで出力したTiff画像の現像手順について以下の記事にまとめました。


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