2月13日遠征記録 福島県木戸ダム 震度6の地震とFRA600ファーストライト
2月13日に天体観測遠征に行ってきました。この日のは福島県が晴れそうということで、Twitterでつながっているぐらすのすちさん(@GLASnSCI)、N_Toshさん(@N_Tosh2045)と3人で福島県浜通りの木戸ダムへ行くことになりました。
自宅から4時間以上かかる場所でしたが、知り合いと一緒に行くならやる気も出るというもの。先日購入したばかりのFRA600を使ってみたかったのもあり、がんばって運転して行ってきました。
FRA600の外観レビュー記事でも触れましたが、バックフォーカス160mmに対して足りない延長筒25mm分を買うために途中シュミットへ立ち寄ります。
ついでに2021年3月発売予定のFRA600用レデューサーの現物を見せていただいたのですが、重さ1キロはあろうかという金属とレンズの塊で、まるで望遠鏡の対物レンズかというような雰囲気でした。楽しみではありますが、ただでさえ重いFRA600がさらに重くなってしまいそうです。
シュミットを後にして首都高経由で常磐道をひたすら北上。ならはスマートICを降りて木戸ダムまで。現地着は17時半くらいだったでしょうか。すでにお二人は到着していたのに加え、薜さん(@tcghe)きゅうり@趣味垢さん(@kyuri_shumi) ゆたかさん(@honwari_spiral)(リンク先はすべてTwitter)がいらしていました。
肝心のFRA600ですが、メーカーの公称通り160mmのバックフォーカス(標準添付の延長筒80mm+追加購入した延長筒25mm+ASI2600MCと付属の延長筒55mm)で撮影を始めたところドロチューブを最短に縮めてもいっこうに星が見えてきません。んー。おかしい。
・・・シュミットに立ち寄った際に「FRA600のバックフォーカス160mmって長いですよねー」という話を店員さんとしたのですが、別のスペックシートと合わない点があるのでメーカーに問い合わせ中という話を伺っていました。そのおかげであまり悩むことなく「とりあえず追加で買った延長筒を抜いてみるか」という判断に至りました。
幸いこれが正解だったようで、ドロチューブを18mmほど引き出したところでピントが出ました(サイトロンLPR-Nフィルタあり)。
標準添付の延長筒+55mmでだいたい合うんじゃね?という可能性が高い気がしますが、APS-Cセンサーでの結果なのでフルサイズでの周辺部の解像がどうなっているかはわかりません。このバックフォーカス問題についてはわかり次第追記いたします。
2020年2月23日追記
160mmというのはバックフォーカスではなく、単に回転装置後端から焦点面までの距離の大まかな距離のことを意味しているのだそうです。レデューサーを使わない場合、単にフォーカスがが合えばそこが正しい位置だということ。結果的に延長筒なしで単にドローチューブを引き出せばそれでただしかったということです。
販売店のサイトロン経由でメーカーに確認していただいたところ、下記の回答を得ました。
You need to make focuser travel at 22mm to focus, so 135mm + 22mm =
157mm.
FRA600 no need to calculate the back focus, like FSQ106, once focus, then the best place.
FRA600 no need to calculate the back focus, like FSQ106, once focus, then the best place.
160mmというのはバックフォーカスではなく、単に回転装置後端から焦点面までの距離の大まかな距離のことを意味しているのだそうです。レデューサーを使わない場合、単にフォーカスがが合えばそこが正しい位置だということ。結果的に延長筒なしで単にドローチューブを引き出せばそれでただしかったということです。
追記終わり
さて無事にピントが出たところで記念すべきファーストライト。
狙うは馬頭星雲。二等星アルニタクが入る構図で性能テストにはぴったりです。FITSファイルをレベル調整のみかけてデモザイクしたものを載せておきます。
ついでに周辺部画像も
APS-CセンサーのASI2600MC Proではありますが、最周辺部まで見事な点像になっているのが見て取れます。少なくとも今後の私のユースケースでは十分な性能を持った鏡筒であることが確認できました。フルサイズでどうなるかはα7sなりα7IIIなりをつなげられるようになった時に改めて検証します。
馬頭星雲の撮影自体はつつがなく終了し、2時間強の露光時間を確保しました。次の対象としてくらげ星雲の撮影を始めて、23時08分。
立ち話をしながらでも感じる大きさの初期微動が始まり、全員のスマホから緊急地震速報のアラーム音が鳴り出します。それとほぼ同時に三脚の金属スパイクとアスファルトが触れてガタガタと大きな音。慌てて機材を抑えに走ります。幸い誰の機材も倒れることなく、またケガ人も出ずに揺れは収まりました。
ニュースをチェックすると、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震。津波の心配はないとのこと。ダムのある楢葉町は震度6弱という報道でしたが、ダム自体はより内陸に位置するため体感的には5強といったところだったでしょうか。
今回幸いだったのは、撮影地がコンクリートダムだったということ。どれだけ大きな地震があってもさすがに崩れるなんてことはないでしょう。ほどなくして、ダム管理事務所の人と思われる車が事務所に到着。これでとりあえず下山するのに障害はなさそうということも判明し、だいぶ落ち着きました。また、同業者の皆さんと一緒に過ごせたのも大きな安心材料でした。これが仮に真っ暗な山奥に一人だけだったらと思うと・・・。
地震発生時にFRA600で撮影されていた画像です。
拡大すると地震の激しさが伝わるかと思います。
その後の震度3相当の余震で撮影された画像の拡大がこちらですので、相当大きな地震だったことがわかります。エッジオン銀河ではありません、念のため。
地震で極軸は完全にずれていたはずですが、ガイドグラフを見る限り破綻はしていなかったようなのでそのまま撮影続行。しかしこの日のトラブルは地震だけでは済みませんでした。日付も変わってしし座の三つ子銀河を撮影していたところで異常発生です。撮影中にも関わらずモーターが大きく動く音がしたので行ってみると、電源がカラになって鏡筒がおかしな方向を向いています。
この日は2月とは思えないほど暖かい日で、撮影開始時点で気温5度。晴れているしすぐに気温も下がっていくだろうと判断して冷却CMOSのセンサー温度を-20度に設定したのがよくなかったようです。その後も気温は下がらず、冷却のための電力が大きい状態が続いてしまったことで電源を使い切ってしまったのが原因でした。
幸いぐらすのすちさんが予備の電源とアダプタを持ってきていたのでそれをお借りして、ホームポジションへの復旧、さらにフラット撮影用のパネルまで貸していただいてフラットフレームを取得、ちょっと早めの撤収となりました。
ぐらすのすちさん本当にありがとうございます。電源を貸してもらえなかったら機材を撤収することすらできなかったかもしれません。
地震発生直後に通行止めを実施し、安全確認を行ったうえで翌朝には通行可能にしてくれたNexco東日本の方、
ダムに駆けつけて安全確認をしてくれていた管理事務所の方
航空機を飛ばして上空から状況確認をしてくれていた自衛隊の方
深夜にもかかわらず刻々と変わっていく状況を見ながら、日本の安全とインフラは多くの方々に支えられているんだと実感した遠征となりました。
走行距離 537km
給油量 42.78L
燃費12.55km/L
この日の結果はこちら↓
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